文部科学省は12月27日、令和4年度の公立高等学校入学者選抜の改善等に関する状況調査の結果を公表した。同調査で初めて、 志願者数が定員に満たないにもかかわらず、受験生を不合格にする公立高校の「定員内不合格」に関する調査を実施した。
調査結果によれば、35都府県で延べ1631人の定員内不合格者がいることがわかった。そのうち、延べ505人は最終日程の入試で不合格となっている。6県(青森県、山形県、福島県、群馬県、佐賀県、沖縄県)は「把握していない」とし、定員内不合格者が5人以下だった6道府県(北海道、福井県、京都府、兵庫県、和歌山県、熊本県)は個人の特定を避けるため、人数を公開していない。
都道府県別に定員内不合格者数を見ると、多い順に高知県(182人)、福岡県(148人)、山口県(131人)、宮城県(108人)、広島県(95人)となった。
同調査では、各都道府県の定員内不合格に対する取組についても尋ねており、定員内不合格がゼロだった埼玉県は、「志願者数が定員内であって不合格者を出す可能性がある高等学校長は県教育委員会と入学許可候補者の発表前に事前協議を行う」としている。
障害のある受験生の公立高校定員内不合格問題は国会でも議論されている。令和4年4月15日の文部科学委員会で質問を受けた末松信介前文科相は、「障害のみを理由に入学を認めないということはあってはならない。高等学校への入学後も、一人一人の障害などの状態に応じた適切な指導が提供されることが重要」という認識を示した上で、「高等学校への進学率が約99%に達している。高校には様々な背景を持つ生徒が在籍していることから、生徒の様々な能力、適性、興味、関心に応じた学びを実現することが必要」と答弁している。