7月12日の配信記事「『高卒就職情報WEB提供サービス』のIDとパスワードは生徒に付与できるのか?」には、「うちの学校では生徒にIDを付与することは認められていない」などの声が寄せられ、地域や学校で判断が異なっている実態がわかった。同時に「なぜ、保護者には付与できないのか?」といった声が複数寄せられた。厚生労働省に聞いてみると……。
編集部=澤田晃宏
IDそのものを保護者に渡してはいけない
前回記事に繰り返しになるが、高卒就職情報WEB提供サービスのIDとパスワードを生徒に付与することは認められている。厚生労働省の若年者・キャリア形成支援担当参事官室の担当者はこう話す。
「高校生の就職は、学校が職業紹介を行うことが一般的です。高卒就職情報WEB提供サービスは、この職業紹介を行う学校が、ハローワーク求人を利用するということを前提として構築したシステムです。ただ、求職者である生徒は情報を見れたほうがいいだろうということで、学校が適切に管理したうえで、生徒にIDを付与することは問題ないということにしています」
そして、保護者の利用に関してはこう続けた。
「保護者がいい悪いというよりは、前提として学校、そして求職者である生徒が使うもの。そこまでは認めていますが、それ以外の第三者に関しては、不正利用などを防ぐ目的で控えて頂きたいということでお願いしております」
ただ、IDそのものを保護者に付与することはできないが、IDを付与された生徒が保護者と一緒に情報を閲覧することまでは否定しないようだ。
保護者とともに閲覧することで、進路選択の決定がスムーズにいったり、視野が広がる可能性もある。閲覧することに問題がないなら、保護者との閲覧を薦めていきたいが、進路指導現場は複雑だ。
西日本のある進路指導担当者は生徒へIDの付与は認めるが、学校内のパソコンでの閲覧に限定し、家庭での閲覧は認めていない。その理由をこう話す。
「高卒就職情報WEB提供サービスにはすべての公開求人情報が掲載されており、保護者と生徒が一緒になり、就職実績もなく、県外の企業まで見つけ出して、あれもこれもとなると、進路指導の手が回りません。あくまで学校に届く指定求人と求人票のなかから選ばせるようにしています」
この担当者は、学校に届いた求人票にはない職種、地域の仕事を生徒が求めた場合に、初めて高卒就職情報WEB提供サービスを利用すると話した。