公益財団法人大阪府育英会が7月1日、企業等が従業員(奨学金返還者)に代わって奨学金を返還する「代理返還制度」の運用を開始した。奨学金返還者の負担を減らし、府内企業の人材確保につなげることが目的。これまで、企業が手当などで返還額を支給する例はあったが、奨学金返還者に変わって企業が代理変換する制度は、都道府県単位の育英会組織では初めてだという。

編集部=澤田晃宏

府育英会によれば、府内の高校3年生の約1割にあたる約6000人が奨学金を利用。府は私立高校の授業料を実質無料化しているが、入学金や修学旅行の積立金などの負担は大きい。

制度を開始した1日時点で、大起水産(大阪府堺市)、おおとり福祉会(同)、オールケア・グループ(守口市)が制度に参加している。大起水産は「奨学金の返済残額を有しかつ本人が返済を行っているもの、又は本人が今後返済する」正社員を対象に、月額最大1万円の支援を実施する。

「魚屋を運営するには、人手がかかります。たくさんの仲間が必要になるからこそ、「人」を重視し、大切にしています。これから活躍される若い世代の皆さんが奨学金の返済を経済的、心理的に不安に思うことなく、安心して働ける職場環境とする為に返還支援制度の導入を決定しました」

同社は、制度導入の背景、理由をこう説明している。府育英会では、同制度に参画する企業を募っている。詳しくは、府育英会返還収納課(電話:06-6357-6273)へ。